和傘とは?和傘の良さや歴史、普段使いのポイントを解説
和傘は日本の伝統工芸品のひとつです。美しいデザインと優れた機能が特徴の和傘は、日本の文化や歴史と密接に結びついています。現代においても和傘は多くの人から愛されており、普段使いする方もいらっしゃいます。今回はそんな和傘の良さや歴史、普段使いのポイントについて詳しく解説します。
和傘とは
和傘とは、竹などの骨組みと和紙の生地でできた傘の総称です。和傘は日本の伝統工芸品のひとつであり、特徴的な美しさと優れた機能を備えています。ここでは和傘の構造や良さについて解説します。
和傘とは
和傘の素材や構造
和傘の良さ
和傘の素材や構造
和傘は主に天然素材で作られています。骨組みには竹・木・糸など、生地には和紙が使われています。また和傘の種類ごとに、骨組みにする竹の太さや和紙の柄なども異なるものが使用されます。
和傘の構造は、竹の骨組みとそれを繋ぐように貼られた和紙でできています。骨組みの本数は和傘の種類ごとに異なり、30本から70本の骨組みが使われます。洋傘の骨組みは通常8本のため、和傘の骨組みは非常に多いと言えます。
和傘の良さ
和傘の良さのひとつは軽くて使いやすいことです。和傘は洋傘と違い、素材に金属や布が使われていません。竹と和紙でできているため非常に軽量で、長時間差していても疲れにくく、持ち運びもしやすいです。
また和傘は優れた遮光性を持っています。和紙は直射日光を遮りながらも、適度に光を透過します。そのため和傘を差すと、柔らかな光のカーテンをまとったように感じられます。特に日傘として和傘を使うと、涼しさを感じながら快適さを感じることができます。
和傘の歴史
日本の伝統的な傘である和傘は、いつどこで生まれ、どのように普及していったのでしょうか。ここでは和傘の歴史について詳しく説明します。
和傘の歴史
和傘はいつどこで生まれた?
和傘が普及したのはいつ?理由は?
和傘はいつどこで生まれた?
和傘が生まれたのは、実は日本ではなく中国です。当時の中国の貴族は、日除けや魔除けのために「天蓋」というものを使っていました。天蓋とは、地面に立てて使う開閉はできない覆いもののことです。この天蓋が日本に伝わり、和傘として独自の進化を遂げていきました。
日本で和傘が使われるようになったのは、平安時代の頃からです。天蓋や日傘として、貴族の間で広まっていきました。和傘が雨具として使われるようになったのは、室町時代から安土桃山時代の間です。和紙に油を塗って防水加工を行い、開閉できるように改良されました。
和傘が普及したのはいつ?理由は?
和傘が一般に普及したのは江戸時代です。この頃になると和傘はさらに改良され、シンプルかつ安価な設計のものが生まれました。貴族が使っていたものが庶民にも使いやすいように改良された結果、和傘は人気を博して一般に広まりました。
また和傘が一般に普及した理由には、芸術や娯楽の影響も挙げられます。和傘は雨具としてだけではなく、日本舞踊や歌舞伎の小道具としても使われます。そしてこれらの芸術や娯楽が盛んになり、庶民の楽しみになったのは江戸時代です。江戸時代は浮世絵や歌舞伎などのエンターテイメントが広がり、その一部として和傘が使われたため、普及が進んだと考えられます。
和傘の種類
和傘は用途やデザインによっていくつかの種類に分けられます。以下では和傘の4つの種類を紹介します。
和傘の種類
蛇の目傘
番傘
日傘
舞傘
蛇の目傘
蛇の目傘(じゃのめがさ)は蛇の目柄が特徴的な雨傘です。傘を開くと白い円が現れ、この模様が蛇の目に見えることから名前が付けられました。骨組みは細く、内側にはデザイン性のある華やかな飾り糸が施されていて、持ち手は黒塗りされています。華奢で豪華な印象の和傘です。
番傘
番傘は蛇の目傘を改良して作られた雨傘です。蛇の目傘に比べると骨組みが太く、和紙は無地のものが使われています。江戸時代になって庶民が使うために作られた和傘のため、実用的でシンプルな作りになっています。
日傘
日傘は、日ざしの強いときなどに直射日光を遮るために使われる傘です。和傘の日傘は日差しをやわらかに遮りつつ、太陽の明るさが透けるようになっています。光に透ける和紙の美しさが、暑い日も涼しさを感じさせます。
舞傘
舞傘は日本舞踊や歌舞伎の小道具として使われる和傘です。鮮やかな色合いの和紙が使われているのが特徴で、華やかで迫力のある舞台を演出する役割を果たしています。「2本つなぎ」という構造になっており、柄の部分が分割できるようになっています。
和傘の使い方
和傘の使い方は、洋傘とは異なる点がいくつかあります。ここでは和傘の使い方・お手入れの仕方・保管方法を紹介します。
和傘の使い方
和傘を使うときの注意点
和傘のお手入れの仕方
和傘の保管方法
和傘を使うときの注意点
和傘を使うときの注意点は、主に以下の5つがあります。
和傘を使うときの注意点
開くときは回しながら
置くときは頭を上にする
強風の日は使用を控える
雨傘の使用後はよく乾かす
雨傘は直射日光に長くさらさない
和傘を開くときは手元をくるりと回します。使わないときは頭を上、持ち手を下にしておきます。雨傘を使用した後は水切りを行い、日陰に干して湿気を完全に取り除いてください。骨が折れたり和紙が変色したりすることを防ぐため、強風や直射日光には気をつけて使ってください。
和傘のお手入れの仕方
和傘のお手入れ方法で大切なことは、湿気を取り除くことです。雨の日に使った場合、まずタオルなどで軽く拭いて水分を取ります。その後、和傘の頭の部分を上にして陰干しをします。一晩ほど乾かして、パリッとした感触になったら乾燥終了です。
日傘や舞傘など、防水加工がされていない和傘を濡らしてしまった場合も、同じように乾かします。完全に水気がなくなったことを確認してからしまってください。
和傘の保管方法
和傘を保管する際は基本的に、形を整えるためについている締輪はせずに、頭を上に持ち手は下にして保管します。買ったばかりの和傘を保管しておく場合も、締輪は外しておきましょう。頻繁に使用する場合は、風通しの良いところに立てかけたりぶら下げたりして保管します。
しばらく使わない場合は防虫剤などを入れた傘袋にしまい、風通しの良いところに保管してください。年に1~2回は傘を開いて風通しをすると、和傘が長持ちします。油が固まって和紙がくっつき和傘が開かなくなってしまった場合、ドライヤーなどの温風で温めながらゆっくりと開いてください。
和傘と洋傘の違い
和傘と洋傘の違いは、素材・構造・用途・デザインなどに見られます。和傘は大部分が天然素材でできていますが、洋傘は人工素材で作られています。和傘の骨組みは竹・生地は和紙であるのに対し、洋傘の骨組みは鉄やカーボン・生地はポリエステルやナイロンでできています。
また和傘と洋傘では構造も異なります。洋傘の骨組みは通常8本でできています。一方和傘の骨組みは30本から70本と、洋傘と比べるとかなり多いです。
さらに和傘と洋傘では、その用途やデザインも異なる場合があります。洋傘の種類には雨傘と日傘があります。和傘はこれらに加えて、伝統芸能の小道具用として使う傘もあります。また和傘のデザインは洋傘とは異なり、日本独特の模様や色彩を取り入れたものが多いです。
和傘の良さを知って普段使いしてみよう!
本記事では、和傘の良さ・歴史・普段使いのポイントなどを解説しました。和傘とは、竹や和紙などの天然素材でできた傘の総称です。和傘は軽いので持ち運びしやすく、適度な遮光性を持っています。
和傘は平安時代に中国から伝わり、室町時代から安土桃山時代に雨具として改良され、江戸時代に庶民に広がり一般化しました。和傘を使う際は水分・強風・直射日光などに注意し、使用後はよく乾かして頭を上にして保管しましょう。